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私が中学校に進級したのを機に、両親は一男一女の権利を代理行使する権利を子どもたちに返還・譲渡することで、心の平穏を勝ち得たらしい。
そうして至って自然に、私たち兄妹は幾つかの娯楽を得た。
私はそれまで両親の検閲対象であり制限されていた漫画、小説、ドラマ、映画、音楽、絵画に至るまでを、抑圧に対する反動のような機運に任せて、自分の思うまま、好き放題にあさった。そして中学三年生の夏休み頃に、何となしにそれらを自分なりに紹介するウェブサイトを立ち上げると、このうち映画のレビュー記事が飛びぬけた反響を得て、サイトの内容をそれだけに専念した結果、私は今では自分一人でも十分生きていけるほどの、所謂努力家と横着者のどちらもが仲良く嫌悪する、広告収入という名の不労所得を得るまでになったのである。
私が両親に初めてこれを相談したとき、二人はあの夜のような世界の終わりが再び到来したかのように狂乱して喜んで、それから私のために父親名義で専用の銀行口座を開設し、その全権を任せたのだった。