表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禁域  作者: 禅海
第二章
74/204

74

 だが私はそれを好意的には全く思わないし、なんならそれこそ少し注意すれば、他人からの褒め言葉というのは無意識な侮蔑と中傷の換言と受け取れるのだし、なによりこの、やはりどことなくあの忌々しい母親の面影がある、母親を思い出させるような、実に病的な顔が気に食わない。

 私の母譲りの神経質は私を常に苦しませているのに、この憎いほどの無表情は私自身にすらそれを隠してしまう。私は昔からどう努力しても、その乏しい表情変化だけは鍛えることが出来ず、私に可能な顔は、微笑、不満、無表情、本当にこれくらいなのである。

 もういっそこの不器用な顔を酸で醜く溶かし爛れさせてしまった方が、幾ばくか安心できるのではないか? 私はまた顔面に指を突き立てて、引掻くように強く洗った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ