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とみに、私の頭部に何か冷ややかな液体が注がれた。液体は頭頂部を流れ落ちながら荒んだ黒髪を濡らし、乾いた頭皮を湿らせ、それをもって私の免罪の印とした。
これで白衣の参列者たちの準備が十全に整うと、直ちに私の全身に刺さった針穴に外部から負圧がかけられた。輸送管は私の至る所から血液を吸い出して、水銀温度計のように幾本もの真っ赤な曳光を宙になぞった。すぐに意識が遠のくのを感じた。その時私は、初めて自分が死ぬことを確信した。……
不思議なことに、私の最古の、臨死の記憶は、実にこの短い、だるまさんが転んだほどの時間に許されるだけの場面に限られている。