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やがて、私の呪詛を乗せた軽トラックは、ぶすぶすと排気筒から黒い煙を吐き出しながら、墳丘墓のような高台の麓の駐車場に停まった。菩提寺は街の隅の、街全体を見渡せる高台の木々を伐採して境内を構えている。
駐車場からこの境内までは、子どもの背丈くらいの葉叢木叢の中を曲がりくねる薄気味悪い坂道を歩いていかねばならないのに、その間、明滅を繰り返す壊れかけの街灯しか足元を照らすものはない。心許ない寒空が、分厚く着込んだ上着を貫いてくる。
「善生、ほれ、手ぇ、こっちや」
歩きの遅い私の手を引こうと、善生の祖父がそう手を差し伸べた時、
「おい! 大変や! はよ消防車呼んで!」
と、尋常ではない常軌を逸したようなけたたましい怒声が、緊急車両のサイレンにも勝る大きさで鳴り響いたと思うと、やや遅れて、夥しい数の恐怖の塊が、前へ前へ我先にと、私に覆いかぶさり押しつぶさんとばかりに、敗残兵の如く暗闇の中を駆け下りてきた。……