66/204
66
ああ、あの煙が、もしあの煙を上げる炎が、何かの間違いで、この街に不浄な罰を与えてくれればいいのに。みんなが信じる仏様も神様も、僕は信じてなんかいない。仏様も神様も、僕を一度だって助けてくれやしなかった。誰が本当に信じているのだろう。あの炎の根を。誰がいつ止めるのだろう。あの卑しい狂乱を。ああ、壊れなければならない。あの醜い幸せは……。
瞳の中で、密かに恐ろしいソドムの炎が燃えていた。それは、全てを破壊し浄化する運命の死の現身にも思えた。するともはやあの祭礼は凄惨の現場に思える。
結局私は他者の幸福も私自身の幸福も受け入れられない人種なのだ。