禁域

第一章

6

　一

　私の思いつく限り最古の記憶は、園児ほどの幼い頃、なんらかの理由で生死の境を彷徨(さまよ)った挙句の果て、儀式めいた奇怪な白衣姿をした者たちに固い手術台の上に寝かされて、細長い輸送管のついた点滴針を針鼠のように全身に打たれているものである。

　手術台には、それには全く相応しいとは思われない、シルクの純白の婚姻のドレスのような、神秘的な異邦の花々の刺繍の入った薄い奢侈(しゃし)の敷物が敷かれ、私はそこに身体を仰向けにされて上着を脱がされ、天井へ僅か呼吸すら苦しい小さな鼻先を向けていた。

　天井には、目の眩むような人工の白銀の光源が複眼様に埋め込まれ、燦々と、裸に剥かれた私を、透明な光の衣で包むように照らしている。