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「私も留守番する。しーくんだけかわいそうやもん」
「喜子は来なさい。ちゃんと来年も幸せでいられるように、善生のぶんも仏様にお祈りせんとあかん」
そんな、妹と父の会話が聞こえたのを最後に、私の意識は地獄の釜のように煮えたぎった灼熱の中に幽閉された。こうして焼かれるような激しい熱にうなされながら、私はまたいつも通り、この諸悪の根源に対するめくるめく自己嫌悪的憎悪を抑えようとしなかった。
どこにも向けようのない憤慨、もっとも何者かに責任転嫁できない問題に対して、私は無力な自分自身を憎んだ。自分を憎むことほど自分を憐れむ行為も他にないのだ。私は自己嫌悪によって、自分自身を一種の自己犠牲に身を投じた悪人正機の名分によって神格化するのだった。