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年末祭礼の大事な一日に、総代一家の長男が欠席するというのはあってはならないことというのが、この古い街では未だに常識だった。
だから私の両親は、なんとか私を家から連れ出そうとして、仏間に迅速に布団を敷き、私に厚手のパジャマを着せ、額に弱酸性の冷却シートを張り付け、家の隅々から風邪薬やら解熱剤やらを引っ張り出してきて熱病に臥せる私に飲ませたが、それでも一向に良い兆しが見えないどころか、私の熱は余計に悪化してしまった。
なぜ両親は私を街の唯一の自慢の小綺麗な病院に連れて行かなかったか? 要するに祭日の病院が午前外来休診であることを知っている両親は、私の快復が午後二時からの祭礼に間に合うことのみを要望したのである。
それで両親が都合良い言い訳を悩み抜いて考えついた結果、結局私は一人だけ家で留守番することになって、居間に敷いた布団に寝かされて、覚束ない意識の外から、「これとこれを何時に何錠ずつ飲みなさい」とだけ両親から言いつけられるのを聞き、