表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禁域  作者: 禅海
第一章
51/204

51

 年末祭礼の大事な一日に、総代一家の長男が欠席するというのはあってはならないことというのが、この古い街では未だに常識だった。

 だから私の両親は、なんとか私を家から連れ出そうとして、仏間に迅速に布団を敷き、私に厚手のパジャマを着せ、額に弱酸性の冷却シートを張り付け、家の隅々から風邪薬やら解熱剤やらを引っ張り出してきて熱病に臥せる私に飲ませたが、それでも一向に良い兆しが見えないどころか、私の熱は余計に悪化してしまった。

 なぜ両親は私を街の唯一の自慢の小綺麗な病院に連れて行かなかったか? 要するに祭日の病院が午前外来休診であることを知っている両親は、私の快復が午後二時からの祭礼に間に合うことのみを要望したのである。

 それで両親が都合良い言い訳を悩み抜いて考えついた結果、結局私は一人だけ家で留守番することになって、居間に敷いた布団に寝かされて、覚束ない意識の外から、「これとこれを何時に何錠ずつ飲みなさい」とだけ両親から言いつけられるのを聞き、


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ