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私は美女の屍体の傍で、身を蝕む興奮と快感を必死に抑えながら、その美体をずっと飽きずに眺めている。眺めながら、何か一言二言屍体に呟いて、やはり返ってこない返事に実に嬉しそうに、優しく微笑んだ。
抱擁の許されないその手のひらを、触れることの許されないその唇を、甘えることの許されないその乳房を、ただ傍で眺めることしか出来ない背徳に私は酔うばかりで――雑音のない永遠の眠りほど、私を執拗に刺激するものは他にないのだった。
誰しもが人生で必ず一度は抱く、自分自身がそれになりたいという、強く、そして不可能な願望を、私は今初めて経験したのである。……