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住職が博物館の職員のように解説する内容に私の主観的感想を加えて説明すると、障壁画にはその全体を包むかのような金色の浮雲が描かれ、襖の右上端には雲に紛れて、仏とその眷属たちが下界へ向かうための列をなす様子が、小さく細かにしかしどこか抽象的に描かれ、はたまた襖の中央から左下端の地上では数羽の丹頂鶴が、立派な松の木や色とりどりの草花に囲まれて、苔むした岩と池沼のたもとに群れる様子が写実的に描かれ、その絵自体の持つ、見る者の目を奪う美しさ、豪勢な割に軽妙で典雅な親しみやすさとはまた別に、この絵に託されたいわば上位者と下位者の隠喩的対照性が、一つの宗教的表現でもあろう。
ある鶴は水辺に細長い嘴を差し出し、ある鶴は片翼を広げて脇のあたりを毛づくろいし、またある鶴はふと天を仰いで、天上の仏たちの来迎を予感する様子がとても印象的である。
「……この絵は狩野派の初期の作品と伝わってはる。見事なもんでしょう」
「ええ、ええ。素晴らしいです。仏様のお顔まではっきり丁寧に描かれていますし、荘厳で、緻密で、特にこの鶴が生き生きとしていて、実に美しい……」
「そうでしょう、そうでしょう……」