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私の日々を縛め続ける愛憎の根源にあるのは、このような自らが利己的であることを自覚していない利他主義者の愛撫なのである……などと、果たして六歳の私は気付き、それを何かに活かし行動することが出来ただろうか?
「それでは、改めまして、本日はようこそ当寺までお越しになりはりまして……」
という関西訛りの常套句から始まり、つらつら止めどなく機関銃のように喋り続ける住職に圧倒されるまま、私たちは点々と続いて御堂の中へ通された。
住職について廊下を進み、戸が開け放たれた広間に到達してすぐに目に入ってきたのは、全面金箔張りの、上座の襖の豪華絢爛な障壁画である。