24/204
24
住職は私たちと会うなり、ぺこぺこと頭を下げつらう両親に対して、漫才のボケのように甲高く間の抜けたような声で挨拶をすると、それからなんの遠慮もなしに私の頭を手厚く撫でた。
「あらぁ二人とも男前にべっぴんさんやねぇ。おっきな凛々しいお目々に長くて綺麗な睫毛。大きゅうなったら、きっと困るくらいモテますわなぁ」
「はは。そうやといいんですけど」
「間違いありません。ほら、あんたはんも撫でたるで」
「あははは。くすぐったい!」
媚びたような笑みを浮かべる両親、家族以外に頭を撫でられることを特に嫌がりもしない喜子の横で、私はこの老人の皺だらけの黴の生えた布巾のような手が大変不快だった。
特にこういう、大人しく従っていればご利益でもあるかとばかりに、見境なく頭を撫でてくるやつは、毛髪の一本一本をアレルギー反応でも起こしたように逆立たせる。