表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禁域  作者: 禅海
第一章
23/204

23

 三歳になったばかりのまだまだ好奇心旺盛な喜子(きこ)は、今自分が見知らぬ街、見知らぬ場所、見知らぬ人々をさすらいに来ているのだということ、そういった経験が後々愛娘の社交の足掛かりになることを両親が期待していることを、あやふやに理解しながら、それでもまだまだ仲の良い兄といつもそうやって遊んでいるように、手つなぎするだけで楽しいらしい上に、一人で放っておくと、移り気の激しいために、あちらこちらへふらふらと、不安など微塵もない楽しそうな顔をして歩いていってしまうので、それがまだ両親にとっては幸せな不安の種である。


 順路通りに境内を一周し、境内を囲む鮮やかな紅葉色とは対照的に質素な佇まいの伽藍、坊主頭の若い修行僧たちの厭世な生活を見物したのち、本堂での記念撮影の流れで当寺の住職を訪ねた。

 私たちの両親は懇意の菩提寺の住職を頼ってあれこれを手配してもらい、まさに今日、待ちに待った当寺の秘蔵物への謁見を許されたのである。両親の旅行の本当の目的は、結局のところこれに尽きた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ