表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禁域  作者: 禅海
第三章
203/204

203

 すくすくと伸び盛った雑草や、荒々しい撤去作業の痕跡で無秩序な有様の大玄関を目の当たりにしつつ、私はそのそばに置き去りにされたかのように転がっていた、フットボールほどの大きさの重々しい色をしたセメントか何かの塊を見つけると、私はそれをなまじ備わった筋肉でどうにか持ち上げて、大きな開閉式自動ドアめがけて、思い切り投げつけた。間もなく不可逆な快音と供にガラスが砕けて破片が無造作に散らばった。警報機はとっくに死んでいた。

 割れた隙間から私は中へ入った。すると足元にはくすんだエナメル色の廊下が延びていて、そのすぐ右手には三、四ばかりの窓口らしき構造が並び、頭上には受付という刻印が薄っすら残ったプレートが一枚だけ、天井からぶら下がる鎖紐にしぶとくしがみついている。

 窓口前から廊下のさらに奥にかけて見ると、所々長椅子が床に固定されていた跡が残ったままであり、分厚い扉が複数、壁に等間隔で一様な横隊を組んでいる。それらの痕跡から判断するに、ここはかつて病院だったことを、私は何となく了解した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ