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禁域  作者: 禅海
第一章
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 二


 私が六歳の秋、生まれて初めて家族四人揃って県外まで旅行する都合がついたのは、それまではことあるごとに、生家のすぐ近隣に別居している祖父母に預けていた幼い妹が、やっとだっこ一辺倒から完全に卒業して十分歩けるくらいになったためである。目的地まで電車で移動するか車で移動するかという田舎特有の問題は、今が一番騒がしいトラブルメイカーの妹のために自家用車一択となった。

 後部座席から窓の外を見上げれば空に雲は一つと無く、目が届く限り青一辺に晴れ渡っている。また、秋らしい穏やかな量感は、慌ただしい日々の時間の経過を忘れさせた。

 山際の高速道路の陸橋の谷底へ、空の麓から白い渓谷が水飛沫を上げて落ちてゆく。その深い底へ影落とす山麓は、眠ったように深い紅茶色に染まっていた。


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