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都琉は微笑む。これといった気丈さが見えるわけでもなく、実に自然な口調は、私には少し意外だった。彼女の方こそもう何も気にしていないのではないか。そうだとしたらこれから話すことは少なくて済む。
私は金輪際都琉とは会わないことを告げに来たのである。なぜか。それはやはり、彼女のことなど私にとってはどうでもよい存在であるということを、彼女と、そして私自身に決意表明するため……いやそのようなことはただの上辺だけのものだ。
私はもう既にかたく決めていた。私はもう死ぬことにしたのだ。今までの出まかせの人生とも、私自身という呪われた存在とも、都琉という私の愛憎とも、私は全てと決別するのだ。そして私はこの死をもって、初めて完全体となる。私は屍体を愛し、屍体を夢見、屍体として終わる。それこそが最初から、私の目指す人生の終劇ではなかったか?
「もう十一月か。今年は短かったなぁ……」
「ん、どうしたの、なんか元気ないね」
決意を固めた私に対して、都琉はどこか気落ちしたような、上の空な顔をしている。
「えっ……ああ、分かる? ははは、やっぱり善生くんは鋭いな。そう、正直元気ないんだ」