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禁域  作者: 禅海
第三章
196/204

196

「外の張り紙はまだご存じないんですか? ここ、今月いっぱいで閉館するんです。もう随分長いこと赤字だったんですよ」



 映画館を出るころは、霰は落ち着き、待ち合わせの時刻に丁度間に合うくらいだった。出口で傘を閉じて大通りに出る。市電の二両編成の路面電車が流れていくのを見送って、大通りを跨ぐ長い横断歩道を渡り、道なりに進んで、阿諏訪川に掛かる神船(かみふな)大橋を渡る。いつも都琉と歩いた道。そういえばあの日は喜子と歩いた道。しかし今ではそれも遥か昔の出来事のようにも思える。

 大橋を渡りきるとすぐ市街中央に入り、雑居ビルに商店街に立体駐車場に百貨店が近づく。そしてその少し手前にカフェはある。カフェの大きな窓が近づく。そこに都琉が居る。一杯のホットコーヒーを注文して私を待ちながら。


「久しぶり……っていうほどでもないか」


 私から先に話した。あのキスのことなどもうなんとも思っていないとでも言うような、一つの牽制のようなものである。


「はは、わたしもちょっとそんな気がしてた」


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