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なぜ? という疑問ばかり、私の頭には浮かび続ける。その理由を求めることにどれだけ無駄な労力を必要とするかなどとうに分かっていながら、私はそれをやめられない。しかし、それよりずっと悍ましいのは、こんな時ですら、喜子の美しい屍体から全く目を離せない自分自身である……。
それでも私をもっとも理解していたのは、ほかならぬ喜子ではなかったか? 何事にも感情の乏しい私を気にかけて、まだ中学二年生のくせにお節介を焼いて、ことあるごとにあのアパートまで両親の代わりに訪ねてきてくれたのは、喜子だけではなかったか? 私が心の底に何かを隠していることすら、あの超能力張りの勘の良さであいつは気付いていたんじゃないか?