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幼い私は結果的には総じてこの両親と、この両親のもとに生まれたことが嫌いだった。二人の性質と、二人の思考、二人の認識……ただ私が嫌いなのはそれらだけではなく、二人の融合した私自身、私が二人と同じく厄介な性質を受け継いでいる可能性、もしくは二人以上に厄介な性質が顕現するかもしれない可能性もまた同じく私の嫌悪の対象であり、それゆえか私は、目前の困りごとにぶち当たると、先ず最初に二人の他人に由来する自己嫌悪に徹することで、内心的な消極的解決を求める術を得たのである。
しかし子どもが子どもである所以は、自らが嫌悪するものが、ときに自らを愛していることに気付けないことである。
いかにも私は私を愛する者を憎んで、彼らがどうして私を愛するのか、私が彼らの愛息子であるという理由以上に、他に知らなかった。彼らに私を愛することを強いている本質的な概念と、私の当意が即座に結びつくようなことはまだかなわなかった。