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禁域  作者: 禅海
第三章
187/204

187

「真戸! 真戸善生はいるか!」


 肥満体型の中年男の担任が大声で口にしたのは、予想もしない、私の名前だった。一様に冷徹な眼差しが私に向けられる。


「はい。います」


 私は無感情に挙手して、入口で息を切らす担任を見る。


「ああいたか。真戸、今すぐ先生と職員室に来なさい。さあ立って」


「どうかしたんですか」


「それは職員室で話します」


 大嫌いな夥しい奇異の目の中を辟易しながら、私はしずかに廊下に出た。「さあ行きましょう」と言われ、何事かも分からないまま、ただどうせ大したことじゃないだろうと過信して、私は言われるままにした。


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