表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禁域  作者: 禅海
第三章
180/204

180

「どうかした?」と私が聞こうとするや否や、それを掻き消すようにカフェの扉が開き、静々と降りしきる雨音に追いかけられながら一人客がやってきて、玄関マットの上で雨粒の付着したこうもり傘をめんどくさそうにたたむ。私が一瞬その物音に気を取られたとき、都琉が何か思い立ったように席を立つ。


「善生くん、雨降ってるけど、そろそろ出ようか」


 別にこれから急ぎの用事があるわけでもないのに、都琉は客が入ってきたのを何かの口実にでもするように、私に身振り手振りを加えて退店を促した。私たちのことをよく知っているカフェのマスターも、特に邪険な顔をしているわけでもなく、普段通り置物のような佇まいである。

 都琉にいったい何があったのか? もしかして私の感想が(しゃく)にでも触ったのだろうか? 何にせよ私にはよく分からない。

 私は不思議に思いながら、二人分の代金を払いにカウンターの隅のアンティークレジに向かった。都琉は「先に出てるね」と言って、小雨とはいえ、厚手のダッフルコートの上からでも肌寒いくらいの夕暮れの店外へ出てゆく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ