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禁域  作者: 禅海
第三章
172/204

172

 それが分かるとすぐ、私の顔に薄っすらと身の毛のよだつような微笑が浮かんできた。私は俯き加減で圧迫を続けているし、周囲の誰もがこの状況に必死であるから、この微笑は決して私以外の誰かにばれることはない。

 私はまるで、高齢の老資産家に後妻で嫁いだ遺産目当ての悪女が、遂に病室で臨終を宣告する医師の面前で偽りの涙を流しつつ、夫の最期を看取りながらそのミイラのように干乾びた頬に別れのキスをするような気持ちで、そしてまた急に冷静になって微笑(わら)うのを我慢して、この悲しき被害者が必死に生きよう、生きようとするのを嘲笑うかのように、死んでしまえ、死んでしまえと胸を圧迫した。

 死ね。死ね。死ね。さあ早く死んでくれ。もう死んでもいいんだ。さあ早く楽になるんだ……。

 死ね。死ね。死ね。死ね……。


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