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禁域  作者: 禅海
第三章
156/204

156

 仁田塚駅前で私と都琉は待ち合わせることになっていた。もとより仁田塚の大祭はその日の午前中から夜にかけて催され、都琉はこの午前中の大祭名物である熱狂的なよさこい踊りを、高校の友人たちに誘われて見物することになっていたのである。

 無論日中の極暑などもってのほかな私が、よさこいを見物しに行こうなどという気迷いを起こすようなことはなかったが、さてそんな私が駅に着いた頃には、さあこれから華やかな露店遊びに繰り出そうという、意気揚々と駅舎を出る若者たちと、またそれに逆行するように、さあそろそろ家路につこうかという、しわくちゃなお猿さんのような顔をしてぐずる法被(はっぴ)鉢巻姿の幼児をあやしながら駅舎へ引き返す家族も、まちまち見つけることが出来た。

 暑苦しい雑沓でごった返す駅舎の入り口の、そのすぐ横に立っているオレンジ色の郵便ポストが待ち合わせの目印ではあるが、そこに都琉の姿はまだ見つけられない。

 スマートフォンを縫い合わせの(うち)ポケットから取りだしてスリープを切り通知欄を見る。特に連絡はない。

 今日はやっぱり行けなくなったという都琉からの謝りの連絡の期待を、私は未だ裏切られ続けていた。


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