表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禁域  作者: 禅海
第三章
155/204

155

 八月二八日の仁田塚(にたつか)の夏祭りは、毎年恒例の阿諏訪山麓仁田神社、仁田塚町縄手(なわて)地区藤明寺(とうめいじ)合同主催の大祭である。

 祭会場が窓向こうにも近付いて見えてくるにつれて、各停車駅からさらなる雑沓が電車に乗り込んでくる。この雑沓の目的地である仁田塚町は、数年前まで母が務めていたスーパーマーケットも所在する、県内では現状中核的商業街であるが、その歴史の古くは建武新政期に所縁(ゆかり)があると言ってもよい。

 この地は建武新政にまつわる一連の争乱によって戦死した、鎌倉崩しの大武将の戦没地であり、江戸時代にその遺物である兜鉢(かぶとのはち)が発掘されたというくだりから現在に至る。もとはこの武将の鎮魂のために始まった大祭の会場は、町内を南北に四五キロ貫通する仁田塚通り沿道であることから、まるで支流河川のように細長い的屋や催し物の行列のかたちになり、また実のところ喜子がそうであるように、同日に県南で大規模な花火祭りが重なることもあり、その中で人の流れは案外滞ることなくスムーズである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ