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禁域  作者: 禅海
第三章
154/204

154

 アパートを出て市鉄の最寄り駅へ向かう。市電のE鉄道のF駅から仁田塚駅までは直通で八駅である。

 既にF駅のホームには、その小さな浮島を埋め尽くすほどの移動客が騒がしくごった返している。普段は(ろく)な人数の乗客を運ばないこの寂れた二両編成の民生鉄道も、この日ばかりは特別に編成数を倍増して運行される。

 さて自動車移動がもっぱらの常識である、この北陸日本海沿の県市町村に於いて、この日のように市電の無人駅が並みならぬ雑沓でごった返すにかけては、何もそれが市内の住人だけで構成されているというわけでもない。混み合った窮屈な車内で聞こえてくる、あまり聞き慣れない加賀訛り、中部訛り、関西訛りがこの証左である。特にJR北陸本線でしばしば乗り合わせる、明らかに高飛車で気取った加賀訛りなどは、特に我々のような田舎訛りの若人を発見すると、見下すような下品な顔をするマダムが非常に多いのだが、そういった人種がこういう時だけ仲良さげな顔で市内に出かけて来るところを見る限り、この田舎街もまだまだ捨てたものではないなどとついつい考えてしまう。


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