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「あららとぼけちゃって。お二人さん随分仲いいじゃん。都琉さんとLINEすると、唐変木な兄上の話ばっかりなんだけど。都琉さん、私にしーくんのこと沢山話してくれて、いろんなこと聞いてくるしさ、それに話せば話すほど知的で可愛くて、ほんと妹になりたいくらい理想的なお姉さんだよ」
私は今すぐ通話を切ってしまいたくなった。喜子の遠まわしですらない実に直喩な確認作業で、彼女が何を言わんとしているのか、私に何を心構えさせようとしているのか、全てがわかった。
「ああそうかよ。なら都琉さんもよほど僕よりもきーちゃんと仲良くしたいんじゃないかな。その様子じゃあ、これももう聞いてるかもしれないけど、締め切り間近のコンテストに出す脚本書くのに集中したいからって、僕のほうにはもうずっと連絡がないんだから。まあもともと連絡とか雑談とか、そういうのいちいちしてたわけじゃないけど、今度はわざわざ、暫く映画館には行かないとかなんとか……やっぱ誰かの思惑なんて僕には解るもんじゃないよ」