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禁域  作者: 禅海
第三章
143/204

143

 自分がほのかに感じている都琉への忌々しい感情は、やっぱりちょっとした勘違いに過ぎないのではないか? 重大に考えるようなことなど元から存在しない杞憂に過ぎず、つまり都琉との関係性にこれから何らかの大変化が起きて、なし崩しに自分の秘密が暴露されるようなことなどもってのほか起こり得ないのではないか?

 このような見せかけの安堵、幸福を得るために、私はただ、自己嫌悪の対偶とでもいうべき、他者恋慕の証明を試みた。私の自己嫌悪が正しければ都琉への他者恋慕も正しく、逆にもし自己嫌悪が偽であれば他者恋慕も偽である。私の自己嫌悪はいやでも私を不幸にするのだから、間違いなく偽であるはずである。それならば都琉への恋慕も偽であるに違いない!

 ただこうなるともはや幸福も不幸もよく分からなくなる。なぜならこのとき私は、私の幸福の証明のために不幸を要請していることになるからだ。だったらこの循環論法のような馬鹿馬鹿しい似非証明に、なんらかの確証的な価値や意味などあるのだろうか?


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