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さてこれから明るい未来を行こうという少年少女諸君よ、さあよく聞くがいい。これは誰しもが人生で突き当たる試練を正当な方法で打破することが出来ず、ゆえに現実世界の何にも自信を持てず、自分以外の何者も愛せない者の行きつく末路だ。そうしてこの種の人間は、自らの堕落は自らが招いているとは知らずに死ぬ瞬間まで人生に不平不満を言い続ける。それでいて外見だけは取り繕って、自分の真なる部分、即ち自らの恥部を晒そうなどという勇気もない。
うら若き少年の苦悩とは、往々にしてこんな、実に笑えるほど低俗なものだ! ああ分かったような口をきく私の心の恥部も、こんなふうに軽く笑い飛ばせるくらい滑稽で低俗だったらいいのに! ああ私という人間がもっと、自分だけが極めて特別な苦しみの中にあると人前で堂々と言い放てるくらい独善的になれればいいのに! ああ私がもっと、彼らのように自分の慾望に素直であれたらいいのに!