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禁域  作者: 禅海
第二章
132/204

132

 私がとかく物事に対して疑り深い性格であるのも災いし、また捻くれた見方をすれば、熱い血の通った極論と偏向が何よりも正しく全てを解決するというなら、今かの平和主義者たちは、決して正論では打倒できない冷酷非道なる戦争と戦っているのではなかった。かの平和主義者たちは血眼になって戦争を予防するためだと名分を立てて、自分たちの勝利旗を掲揚した理想の平和を貶しかねない妄想と戦っているだけなのだ。

 それも遠回りすれば彼らが嫌悪する立派な戦争準備であることはさておき、今私はどうやら血気盛んな妄想と妄想の全裸の決闘を見せられているのだと思うと、あの老人の講義は笑いすら起きない宴会茶番に変わっていた――いや? だけどそれは、今の自分自身だって似たようなもんじゃないか? 自分はこの間ずっと、はたから見れば実にお笑い草なことで悩んでいるに過ぎないんじゃないか?

 次第にそんな薄ら自嘲が浮かんでくると、私にはこの下らない茶番は茶番ですらなくなって、何か余計に虚しく惨めな、耐えるべき通過儀礼のように思えた。


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