表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禁域  作者: 禅海
第二章
127/204

127


 三


 米原(まいばら)駅の新幹線のホームに、不憫なアゲハ蝶の屍体が干からびていた。今夏の酷暑はまだずっと先まで及ぶだろう。

 夏季休業中の大学見学という名目で教員たちが仕切る一泊二日の旅行行事(私の高校には二〇〇〇年代にもなって修学旅行という行事が無かったのである! つまりこのような小集団ごとの大学見学は実質的な修学旅行だった)で、私は校内の成績上位の三十名の文系生徒のうちの一名として、東京の法科系で有名な私立大学へ行くことになった。

 このような旅行に無知で純粋で世間知らずな田舎者が抱く憧れとは、今昔例外なく華やかな都の暮らしであるし、実際大半の生徒たちの目的とは、この華やかな生活の幻想的描像を、より現実に近づけようという切なる試みに違いなさそうである。私には同級生たちが新幹線の中でそういった話をしてうつつを抜かす様子が、なんとも冷笑を誘う社会構図に見えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ