表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禁域  作者: 禅海
第一章
12/204

12

 私が生まれたのは、丁度そのような、伝統的小規模コミュニティーの規範の大崩壊が急速に明瞭化・膨張し始めた、またもはやそういう社会問題にしか人々の関心が向かなくなるくらい、日本人の精神が傾国の下り坂を緩やかに転がり落ち始めた、平成時代の中頃だった。


 こういう故郷・時代の背景をもって、私が幼少の頃から経験した気に食わない・反感を抑えがたい伝統、風習、出来事は数多かったが、その中でも特に、しばしば経験した家族ぐるみの参拝行事にも、私は内心、常にどことない奇異の眼差しと反目な苛立ちに付きまとわれていたということを述べておかねばならない。

 私の本名は『善生(善く生きるという意味らしい)』と書いて、『よしき』と読む。もっとも私が特に幼いうちは、名前を明らかに呼びやすいように、家族や身内は私の名前のひらがな三文字のうち、真ん中の一文字だけを抜き出して『しーくん』というニックネームを付けて、私を仔犬や仔猫の鳴き声のように甲高い・綿菓子や飴玉のように甘い声で呼んでいた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ