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「騒がしいのには慣れてないけど憧れてる気がするの。仲がいい兄妹って珍しいってよく聞くけど、善生くんと喜子ちゃんは間違いなくその珍しい兄妹だね」
「お恥ずかしい話です」
「恥ずかしいくらいでいいんだよ。それよりも相手に何にも感じない関係ってつまらないじゃん? 私はさ、二人と話してて楽しい。それって素敵なことじゃないかな。きっとそう思わせてくれる二人が素敵なんだよ。さっきだってさ、善生くんは聞いてたか分かんないけど、喜子ちゃんがすっごく素敵なこと言ってたよ」
「僕が高所恐怖症で中学の修学旅行で東京タワーに登れなかった話? あいつに言わせりゃ映画の見過ぎで倒壊するなんて考えてるんじゃないかって。我ながら素敵な想像力してるよ」
「もう、違うってば。そういうのじゃなくて。喜子ちゃんさ、三四十年後には顔中皴だらけでいたいんだって」
「なにそれ。変なこと言うなぁ」