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禁域  作者: 禅海
第一章
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 私の生家である真戸(まと)家は、美しい水仙の咲き連なる海岸の一帯・日本海の花飛沫に面する港町から、少し東の内陸に入った、山間盆地のE市街の外れの地区にある。市街とは言っても、関東やら関西のずっと都会から見れば、年々高齢化が進んで、余所者嫌いの瓦屋根・土壁の民家の群れに圧迫されるようにして倒産した県外企業の商業施設の跡地に、次から次へと雨後の(たけのこ)のように小綺麗な病院・介護施設ばかりが増築されてゆく、北陸の辺鄙な、ただ断絶の時を待つだけの限界市街である。

 少なくとも開発や近代化という概念からは程遠く、街には旧来の伝統・風習を重視する者や保守的で頑固な者ばかり残され、それに耐えかねて仕事や学業を理由に外界へ出てゆく若者は後を絶たず、しかも彼らの大多数はそのまま二度と生まれ故郷の街へは帰って来ない。そしてこのような孤立地区の界隈で話題に上がるニュースといえば、地区の特産品の山西瓜(やますいか)が、近くの工場に雇われている中国人労働者の集団に盗まれたなどという、さもしいものばかりだった。


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