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「へえ、じゃあ随分信用あるんだね、僕は」
「もう、そういうふうに言うのはずるいよ」
「ははは、ずるい、か。……ま、それはいいからさ、じゃあ都琉さんはさ、その脚本の……どんなストーリーを書きたいの? それくらい聞いてもいいかなって」
「……一応聞くけど、何言っても笑わない?」
「なんで。笑わないよ。都琉さんが真剣なら、僕だって真剣に聞く。なんかさ、自分のやりたいことをやるって、それだけで勇気があるってことじゃない? 脚本書こうだなんて、そんなの誰にでもできることじゃない。だって大抵の人はさ、何かを貫き通す前に簡単に諦めちゃう。自分には出来ないって気付くのが怖いからね。でも都琉さんはそうじゃないでしょ。都琉さんは自信をもって書きたいものを書く。僕はそれをただ読みたいだけ。そういうことにしとけばいいんじゃない。……いや、なんか自分で言ってて馬鹿らしい気もするんだけど」