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8.決定的な瞬間。

限界を迎えていたのでしょうね(´・ω・`)

という、お話です。










「あなた! いい加減にして!!」

「うるさい!! お前に、なにが分かるんだ!!」




 失意の中、アルフォンスは酒に溺れていた。

 家の中に引きこもり、朝から晩まで酔い潰れるまで呑み続ける。たまに家の外へ出たかと思えば、誰と分からない女と浮気を繰り返していた。今まで張り詰めていた糸が切れたのだろうか、彼はとかく堕落を続けていく。


 妻であるアイネとの仲は当然、日増しに悪くなっていった。

 まだ物心ついたばかりのコルネもいたが、アルフォンスに息子を気遣う余裕などない。そのようなものがあれば、一人で抱え込むこともなかった。

 このように、最悪な状況は回避できたのかもしれない。


 今になって考えれば、なんと馬鹿なことをしたものか。

 そう思うのは、人間の常だろう。



「ねぇ、悩みがあるなら相談して……?」

「……うるさい、黙っていろ」

「………………」



 意固地になっていた。

 アルフォンスは妻からの救いの手を振り払う。

 互いの心が壊れていく。その音が、耳元で聞こえていた。硝子のようなそれはひび割れて、あと少し、なにかの後押しがあれば後戻りできなくなる。

 アルフォンスも、アイネも、それを理解していた。


 彼らにとって、最後の絆は息子のコルネ。

 だが、そんな息子の無邪気な悪戯がすべてを終わらせるのだった。











 ――ある日のことだ。

 まだ幼いコルネは、部屋の中で一つの銀時計を見つけた。

 刻々と、一定のリズムで時間を進める美しいそれに、少年の心は奪われる。好奇心が盛んな年頃ゆえだろう、彼はおもむろにそれを手にして遊び始めた。



「うわぁ……!」



 瞳を輝かせて。

 悪意など、あるはずがなかった。

 だが、だからこそ悲劇は起きたのかもしれない。




「あっ!?」





 どこをいじったのかは、分からない。

 それでも、その銀時計は音を立てて壊れてしまったのだ。

 針は動きを止めて、動かなくなる。そして、




「……コルネ。お前、なにをしてるんだ?」

「パパ……?」




 運が悪かった。

 その決定的な瞬間を、アルフォンスが見てしまった。




「なにをしているんだ、お前はァ!!」

「ひぅ!!」




 アルフォンスの手が上がる。

 そして、彼は力任せに息子の頬を叩いたのだった。

 乾いた音が響く。何事かと、アイネもすぐに駆け付けた。




「う、うわあああああああああああああああああああああああ!!」






 部屋の中に響き渡ったのは、泣きじゃくるコルネの声。

 アイネは、アルフォンスが息子に何をしたのかすぐに理解した。










 これが、家族が壊れた決定的な瞬間。

 その場にいる全員の心が、バラバラになったのだった……。






 


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