1.ライルの原風景、始まり。
ここから、第1章です。
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「ねぇ、お爺ちゃん! 見て!」
――幼い頃の記憶。
ボクは大好きな祖父に、自分が作った花飾りを見せた。
すると相手は優しく微笑んで、こちらの頭を撫でてくれる。
「おぉ、ライルは筋が良いな」
「ほんとっ!?」
「本当だとも。お爺ちゃんには、分かるよ」
祖父はそう言うと、髪飾りをボクに付けてくれた。
本当は女の子にプレゼントするようなものだったのだけど、それ以上に褒められたことが嬉しい。天にも昇るような気持ち、といえばいいのだろうか。
当時のボクは小躍りしながら、ふとお爺ちゃんの部屋を見回した。
そこにあったのは、剣や盾に留まらない。
一般的な家具に加えて、服や小物、さらには――。
「うわぁ、すっごくきれい!」
ボクが作ったそれより、ずっと完成度の高い装飾品があった。
悔しくなんてない。素直に見惚れてしまう、そんな品々が並んでいる。
「これも、お爺ちゃんが作ったの?」
ボクはそう訊ねた。
すると祖父は、小さく首を左右に振って答える。
「違うよ、ライル。私がしているのは、修繕さ」
「しゅうぜん……?」
「あぁ、そうだよ」
聞いたことのない言葉だった。
首を傾げると、祖父は柔和な笑みを浮かべて語る。
「簡単に言えば、私は直しているんだよ。色々な物の色や形、そして――」
一つのネックレスを手に取って。
慈しむようにして、それを撫でながら……。
「その物に込められた、思い出を」――と。
その横顔は、今でも憶えている。
だってボクはこの時、こう思ったのだから。
「ボクも、やってみたい……!」
いつの日か、自分も祖父のような修繕師になりたい――と。
これがボクの原風景。
今にも続く、確固たる夢が定まった瞬間だった。
◆
「さぁ、いよいよだ……!」
ボクはある建物の前に立って、気合いを入れるように言った。
ついに、ここから始まる。
ずっと志してきた『修繕師』としての第一歩。
立て掛けられた看板の文字を見て、ボクは大きく頷いた。
「ここから、ボクも始めるんだ!」――と。
そう、決意を新たに。
『リペア・ザ・メモリーズ』
お爺ちゃんが言っていた。
いつの日か、誰かの『想いを守る』ために……。
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