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1.ライルの原風景、始まり。

ここから、第1章です。

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「ねぇ、お爺ちゃん! 見て!」




 ――幼い頃の記憶。

 ボクは大好きな祖父に、自分が作った花飾りを見せた。

 すると相手は優しく微笑んで、こちらの頭を撫でてくれる。



「おぉ、ライルは筋が良いな」

「ほんとっ!?」

「本当だとも。お爺ちゃんには、分かるよ」



 祖父はそう言うと、髪飾りをボクに付けてくれた。

 本当は女の子にプレゼントするようなものだったのだけど、それ以上に褒められたことが嬉しい。天にも昇るような気持ち、といえばいいのだろうか。

 当時のボクは小躍りしながら、ふとお爺ちゃんの部屋を見回した。


 そこにあったのは、剣や盾に留まらない。

 一般的な家具に加えて、服や小物、さらには――。



「うわぁ、すっごくきれい!」



 ボクが作ったそれより、ずっと完成度の高い装飾品があった。

 悔しくなんてない。素直に見惚れてしまう、そんな品々が並んでいる。



「これも、お爺ちゃんが作ったの?」



 ボクはそう訊ねた。

 すると祖父は、小さく首を左右に振って答える。



「違うよ、ライル。私がしているのは、修繕さ」

「しゅうぜん……?」

「あぁ、そうだよ」



 聞いたことのない言葉だった。

 首を傾げると、祖父は柔和な笑みを浮かべて語る。



「簡単に言えば、私は直しているんだよ。色々な物の色や形、そして――」



 一つのネックレスを手に取って。

 慈しむようにして、それを撫でながら……。



「その物に込められた、思い出を」――と。



 その横顔は、今でも憶えている。

 だってボクはこの時、こう思ったのだから。



「ボクも、やってみたい……!」



 いつの日か、自分も祖父のような修繕師になりたい――と。


 これがボクの原風景。

 今にも続く、確固たる夢が定まった瞬間だった。







「さぁ、いよいよだ……!」



 ボクはある建物の前に立って、気合いを入れるように言った。

 ついに、ここから始まる。



 ずっと志してきた『修繕師』としての第一歩。

 立て掛けられた看板の文字を見て、ボクは大きく頷いた。




「ここから、ボクも始めるんだ!」――と。




 そう、決意を新たに。



『リペア・ザ・メモリーズ』



 お爺ちゃんが言っていた。

 いつの日か、誰かの『想いを守る』ために……。



 


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