表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/143

2.最高の修繕師。




 ――数日後。



「なぁ、リンド。どうして、そのオンボロを持ってきたんだ?」

「これか。少しだけ、楽しみにしていてね」

「楽しみ……?」



 ダンジョンに潜ったリンドと仲間たち。

 しかし彼の得物を見た一人は、眉をひそめながら首を傾げた。

 何故ならリーダーであるリンドが手にしている剣は、彼が幼少期に使っていたというアンティーク品だったから。

 ダンジョンの下層において、そのような玩具を使うなど正気の沙汰ではなかった。そう思って、仲間は撤退を進言しようと――。



「なっ……!?」



 ――した、その時である。

 目の前に突如として、巨大なドラゴンが姿を現したのは。



「不味い、逃げるぞリンド……って!?」



 仲間の一人が、そう叫んだ。

 しかし、彼はリーダーの行動に驚く。何故ならリンドは、アンティークの剣を引き抜いてドラゴンの前に立ったのだから。



「馬鹿になったのか!? おい、死ぬぞ!!」



 そう声をかけるが、リーダーは剣を構えて動こうとしない。

 それどころか、ドラゴンに斬りかかるタイミングを計っているようだった。仲間たちはその後姿を、固唾を飲んで見守る。


 助けに入るには、もう遅い。

 そして、ドラゴンが咆哮を上げた瞬間――。



「な……そんな、馬鹿なっ!?」



 信じられないことが起きた。

 リンドはさほど力を入れずに、アンティークの剣を振り抜く。するとその直後に、目の前の巨大ドラゴンの身体は――。



「う、そだろ……?」



 まるで、果物を切るかのように。

 その硬い岩のような鱗と身が、真っ二つに両断されていた。

 断末魔の叫びを上げて、魔素へと還っていくドラゴンを前に立ち尽くすパーティーの仲間たち。そんな彼らをよそに、リンドだけは剣を見つめて呟くのだった。




「あぁ、やはり。彼はとんでもない人物だ」――と。







「あの、本当に良いんですか? こんな大金貰って……」

「構わないさ。キミは想像以上の仕事をしてくれた」

「そうなんですか……?」



 ダンジョンから帰ってきたリンドさんは、とても満足げに笑っていた。

 そして、ボクの手を取ると伝えていた金額の倍以上のお金を払ってくれたのだ。嬉しいは嬉しいのだけれど、こんなに貰っても良いのだろうか。

 こちらが困惑していると、彼は笑顔でこう言うのだった。



「ところで、ライルくん? キミの夢というのは、叶いそうかな」



 それを聞いて、ボクはハッとする。

 たしかに貰った金額を考えれば、十二分に店を開くことができた。



「はい……! はい! ありがとうございます!!」



 だから自然と、笑顔でそう感謝を口にする。

 そんなボクを見てリンドさんは、また優しく微笑むのだった。



「せっかくだし、私たちのパーティーも贔屓にさせてもらうよ。他の冒険者たちにも、キミのことを伝えておこう」

「本当ですか!?」



 そして、そんな申し出をしてくれる。

 ボクは身に余る施しに、思わず泣きだしそうになってしまった。



「ありがとうございます! ……ホントに、夢が叶いました!」

「いいや、これからだよ。きっとライルくんは――」




 そんなボクに。

 リンドさんはこう言うのだった。





「これから、とっても忙しくなるよ」――と。





 


面白かった

続きが気になる

更新がんばれ!


もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより★★★★★で評価など。

創作の励みとなります。


応援よろしくお願いします!

<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ