3.国王の思惑。
昨日、ガチで体調崩して書けなかった!
ここからまた、気を引き締めますので応援よろしくです!
_(:3 」∠)_
「……えっと、ティローさん。これからよろしく!」
「呼び捨てで構いません、ライル様」
「え、っと……あはは」
国王陛下の部屋を出て。
王城の中庭で休憩しながら、ボクは改めてティローさんに挨拶をした。
しかし彼はやけに畏まった態度を崩さずに、ずっと頭を垂れている。隣にいるアーシャに目配せをして助けを求めたが、あいにく肩をすくめられてしまった。
どうやら、ボク一人で対応するしかないらしい。
「えっと。じゃあ、ティロー? できたら、ボクのことも呼び捨てしてもらえると嬉しいかな。様付けされるのは、どうにも慣れてなくて……」
「いいえ、なりません。私は貴方に仕えるため、この地に赴いたのです」
「えぇ……」
申し訳ないけど、ティローの勢いに引いてしまった。
だがしかし、彼自身はボクの困惑に気付いていないらしい。なので――。
「いや、これは――」
ハッキリと、こう言うことにした。
「お願いとかじゃ、ないよ?」
お願いとか、そういうレベルを超えて。
ボクは、彼が自分に対等に接することを求めた。だって、せっかく一緒に仕事をするのだから。このような関係は、とかくもったいないと思ったのだ。
こちらの言葉に、ティローは面を上げる。
そして、
「承知いたしました」
一つ、しっかりと頷いて。
エルフの青年は、こう言い放つのだった。
「つまり『命令』ということですね?」――と。
ボクは彼の言葉に硬直。
数秒の間を置いて、思わず叫ぶのだった。
「ちがあああああああああああああああああああう!!」
◆
「お父様……? なにを、お考えになっておられるのですか?」
中庭を見下ろし、どこか愉快そうに微笑む父にフランは訊ねた。
すると、父――この国の長は、彼女を見て答える。
「それは、どういう意味だ?」
「誤魔化さないでください。なぜ、あの方を選んだのですか」
「はっはっは! 我が娘ながら、遠慮がないな!」
「むぅ……」
王女の詰問に、ライネルがさらに煙に巻くような返答をした。
フランはそれが気に食わなかったのか、珍しく頬を膨らす。そんな娘を見て、そろそろ冗談はやめ、と判断したらしい。
国王は一つ息をつき、また楽しげな笑みを浮かべるのだった。
そして、こう小さく口にする。
「少々、お手並み拝見、と思ってな。さぁ、見せてもらおうか――」
どこか懐かしそうに、目を細めて。
「かの奇才が認めし、最高の修繕師よ」
彼の視線は真っすぐに、ライルへと注がれていた。
しかし、青年がそのことに気付くのは、まだまだ先のことである。




