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1.王族からの依頼。

ここから第3章。

ライル、出世したなぁ……。








 ――ある日のこと。




「え、えー……陛下におかれましては、本日もお日柄が良く……?」

「ライルさん。それ、どう考えてもおかしいですよ?」

「はっはっは! そう硬くなるな、修繕師よ!」

「あ、あはは……」



 ボクはどういうわけか、国王陛下の御前にいた。

 しかも謁見の間みたいに畏まった場所でなく、陛下の私室である。隣にいるアーシャが少し呆れたようにため息をつくが、ボクとしてはそれを気にする余裕もなかった。そんなわけで、一介の平民である自分がどうしてここにいるのか。


 事の発端は、半月ほど前までさかのぼる。






「え、王女様からの依頼……?」

「はい。フラン王女様にお会いしてきたのですが、そこでライルさんの話が出まして。なにやら、修繕してほしい物がある、と」

「ほ、ほへぇ……」




 店仕舞いを進めていると、アーシャからそんな話をされた。

 王族からの依頼。話のあまりの大きさに、ボクは思わず変な声を漏らした。あまりに現実味がなさすぎるため、手が止まってしまう。

 そんなボクを見かねてか、少女はこう言った。



「フラン様も、それに国王陛下も、一度ライルさんに会いたいと仰っていました。それだけ、貴方は期待されているということです」――と。



 ボクは彼女の言葉を聞いて、ついつい首を傾げてしまった。

 たしかに最近、貴族のお客様も増えている。評判も上々なようで、それ自体はとても嬉しいことだった。しかし――。



「そんな、ボクはボクにできる範囲でやってるだけで……」



 そんな、特別なことをしている覚えはない。

 そのつもり、だったのだけど……。



「それで、良いんですよ。ライルさんは」

「え、それでいい……?」



 こちらの困惑に、アーシャは優しく微笑んだ。

 訊き返すと彼女は静かに、しかし温かくこう口にする。



「貴方は貴方らしく、それで良いのです。それを皆さんが、認めているのですから」

「…………そう、か」

「はい。だから、もっと自信を持ってください」

「…………」



 アーシャの元気な笑顔に、どこか勇気が湧いてきた。

 だから――。



「そっか。それなら――」




 ボクは、大きく頷いてこう答えたのだ。




「その依頼、受けることにするよ!」




 


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