6.二人の出会い。
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「王女様からもらった髪飾り、ってこと……?」
「おそらく、そうなるかと思います」
店に戻ると、アーシャがやってきていた。
中に入ってお茶を飲みながら、互いに得た情報を照らし合わせる。髪飾りの持ち主が王女様だった、というのが驚きだが、どうやら間違いではないらしい。
テーニャ曰く、いじめを受けて街の路地裏でうずくまっていた時、フラン王女がやってきたということだった。
「フラン様も、妖精の声を聞いて路地裏の少年に会ったと話していました。お互い自分以外に、妖精が見える人に会うのは初めてだったみたい、ですね」
「そうだね。テーニャも、同じことを言っていたよ」
ボクはそう答え、彼から聞いた事の次第を思い出す。
◆
「貴方も、妖精さんとお話しできるの?」
「え……? キミ、は?」
「私は、フラン」
ある昼下がりの路地裏。
そのすぐ傍に、唐突に馬車が止まった。
テーニャが何事かと思っていると、現れたのは見るからに高貴な少女。フランと名乗った彼女は、小首を傾げながらこう訊いてくるのだった。
「どうして、そんなに怯えているの?」――と。
何故ならその時、テーニャはひどく震えていたから。
テーニャには味方がいなかった。この頃の少年にとっては、周囲の人々すべてが敵であり、自分を傷つける者に違いなかったのだ。
だから、こんな可憐な少女にさえも恐怖する。
信じられるのは、ずっと一緒にいてくれる妖精たちだけ。
そう、思っていた。
「……これ、使って」
「あ、え……?」
見かけない妖精たちに囲まれた彼女が、ハンカチを差し出すまでは。
あまりの出来事に呆けていると、フランが手ずからテーニャの顔の汚れを拭きとった。そしてふと、少年の前髪を持ち上げて微笑む。
どうしたのだろうか。
少年がそう思っていると、王女は二つあった髪飾りの一つを外した。そして、その髪飾りで少年の前髪を束ねる。
「あの、え……!?」
テーニャは、あまりの出来事に困惑。
戸惑う彼を見て、フランは嬉しそうにこう告げるのだった。
「可愛い顔してるから、見えていた方がいいと思う」
「で、でもこれって!」
「いいの。それ、あげるよ」
「そんな! こんな高そうなの、貰えないよ!」
「そっか……」
だが、当然ながら少年は拒否する。
すると王女は残念そうにして、でもすぐにこう言った。
「じゃあ、貸してあげるから。……いつか、返しにきて?」――と。
そして、すぐに踵を返して行ってしまった。
取り残されたテーニャ。
彼はただ、眩しい少女の背中を見送ることしかできなかった。
◆
テーニャは、話してくれたのだ。
いつか、あの髪飾りを返しに行ける自分になりたい。
そのためにも、壊れたままにはしておけない、と。
「…………」
だったら、ボクにできることはなんだろう。
考えるまでもない。
修繕師にできるのは、一つしかなかった。
「ねぇ、アーシャ? その――」
「分かっています。わたくしも、協力します」
「…………ありがとう」
そして、もう一人の協力者が必要。
そう思ったのだが、彼女の方から申し出てくれた。
だからボクは、拳を握りしめてこう宣言する。
「この想いは、ボクたちが届けよう!」
すると、アーシャも気持ちの良い笑顔で頷くのだった。
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