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6.二人の出会い。

ランキング、まだ頑張ってます!

あとがきもお読みいただけると、とても嬉しいです!!









「王女様からもらった髪飾り、ってこと……?」

「おそらく、そうなるかと思います」



 店に戻ると、アーシャがやってきていた。

 中に入ってお茶を飲みながら、互いに得た情報を照らし合わせる。髪飾りの持ち主が王女様だった、というのが驚きだが、どうやら間違いではないらしい。

 テーニャ曰く、いじめを受けて街の路地裏でうずくまっていた時、フラン王女がやってきたということだった。



「フラン様も、妖精の声を聞いて路地裏の少年に会ったと話していました。お互い自分以外に、妖精が見える人に会うのは初めてだったみたい、ですね」

「そうだね。テーニャも、同じことを言っていたよ」



 ボクはそう答え、彼から聞いた事の次第を思い出す。







「貴方も、妖精さんとお話しできるの?」

「え……? キミ、は?」

「私は、フラン」



 ある昼下がりの路地裏。

 そのすぐ傍に、唐突に馬車が止まった。

 テーニャが何事かと思っていると、現れたのは見るからに高貴な少女。フランと名乗った彼女は、小首を傾げながらこう訊いてくるのだった。



「どうして、そんなに怯えているの?」――と。



 何故ならその時、テーニャはひどく震えていたから。

 テーニャには味方がいなかった。この頃の少年にとっては、周囲の人々すべてが敵であり、自分を傷つける者に違いなかったのだ。

 だから、こんな可憐な少女にさえも恐怖する。

 

 信じられるのは、ずっと一緒にいてくれる妖精たちだけ。

 そう、思っていた。



「……これ、使って」

「あ、え……?」



 見かけない妖精たちに囲まれた彼女が、ハンカチを差し出すまでは。

 あまりの出来事に呆けていると、フランが手ずからテーニャの顔の汚れを拭きとった。そしてふと、少年の前髪を持ち上げて微笑む。


 どうしたのだろうか。

 少年がそう思っていると、王女は二つあった髪飾りの一つを外した。そして、その髪飾りで少年の前髪を束ねる。



「あの、え……!?」



 テーニャは、あまりの出来事に困惑。

 戸惑う彼を見て、フランは嬉しそうにこう告げるのだった。



「可愛い顔してるから、見えていた方がいいと思う」

「で、でもこれって!」

「いいの。それ、あげるよ」

「そんな! こんな高そうなの、貰えないよ!」

「そっか……」



 だが、当然ながら少年は拒否する。

 すると王女は残念そうにして、でもすぐにこう言った。




「じゃあ、貸してあげるから。……いつか、返しにきて?」――と。




 そして、すぐに踵を返して行ってしまった。

 取り残されたテーニャ。


 彼はただ、眩しい少女の背中を見送ることしかできなかった。







 テーニャは、話してくれたのだ。


 いつか、あの髪飾りを返しに行ける自分になりたい。

 そのためにも、壊れたままにはしておけない、と。



「…………」



 だったら、ボクにできることはなんだろう。

 考えるまでもない。


 修繕師にできるのは、一つしかなかった。



「ねぇ、アーシャ? その――」

「分かっています。わたくしも、協力します」

「…………ありがとう」



 そして、もう一人の協力者が必要。

 そう思ったのだが、彼女の方から申し出てくれた。


 だからボクは、拳を握りしめてこう宣言する。




「この想いは、ボクたちが届けよう!」




 すると、アーシャも気持ちの良い笑顔で頷くのだった。




 


ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます!


面白かった

続きが気になる

更新がんばれ!


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