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3.アーシャ、王城にて。

あれ、思ったより長い話になりそう。

応援よろしくお願いいたします!








「あの髪飾り、本当にどこで……?」



 ――翌日の昼間。

 アーシャは身内の用事もあって、王城を訪れていた。

 しかしながら彼女自身がやることはなく、すぐに時間を持て余してしまう。そんなわけだから、少女はブツブツとそう呟きながら、広い廊下を練り歩いていた。


 でも、簡単に答えが出てくるはずもなく。

 アーシャは思わず、大きくため息をついてしまうのだった。



「なんとかして、ライルの力になりたいのですけれど……」



 そして出てきたのは、そんな本音。

 彼女はとかく、ライルという青年の力になりたいと考えていた。

 理由は単純明快。彼は自分にとって、かけがえのない友人であり、同時に大恩ある相手だからだった。それを告げたらライルは謙遜するだろう。

 だが、アーシャはそう認識していた。



「……ふぅ。少し、中庭で休憩させていただきましょう」



 考え歩いて疲れたのか。

 少女は少し肩を落としながら、そう独り言ちた。

 真っすぐに中庭へと向かう。そして、そこに足を踏み入れた時だ。



「あら、あの方は……」



 先客がいることに気が付いたのは。

 中庭に置かれた長椅子に腰かけるのは、一人の女の子だった。

 セミロングの金の髪に、不思議な魅力を感じさせられる蒼の瞳。背丈はアーシャよりも幾分か低く、年頃もまだまだ若い。

 華奢なその子の名前をアーシャは、当然知っていた。



「フラン様、お邪魔いたしております」



 何故なら、その女の子――フランは、この国の王女なのだから。

 アーシャの声に、王女はゆっくりと振り返り淡々とした声でこう言った。



「……アーシャお姉ちゃん。こんにちは」



 抑揚のないそれ。

 フランに悪気があるわけでなく、これが彼女の話し方だった。

 語弊を恐れなければ、感情の起伏が少ないといえば良いのだろうか。しかしアーシャは気にすることなく、王女の隣に座った。



「なにをなされていたのですか?」

「花の妖精さんと、お話してた」

「あら、それは楽しそうです」



 問いかけに、不思議な返答をするフラン。

 それも慣れっこであるアーシャは、楽しげに笑った。フランは物心ついた時から、妖精と話すことができる、と主張している。

 周囲の大人は子供の冗談だと笑うが、当人は至って真剣だ。

 そのせいで孤立する機会の多いフランではあるが、アーシャは特別そのことを気にしたりはしない。むしろ、それが彼女の個性と思っていた。



「…………? お姉ちゃん、悩みごと?」

「やはり、顔に出てましたか」

「……うん」



 そんなこんなで、二人黙っていると。

 王女が公爵家令嬢の顔を覗き込みながら、そう訊いてきた。アーシャは隠しきれなかったことに、思わず苦笑いを浮かべて頬を掻く。

 そして、一つ息をついてから話をしようとした。


 その瞬間だった。



「…………え、それって」



 フランのことを見て、ある事実に気が付いたのは。




「フラン様、少しだけお訊ねしたいことがございます」

「…………?」




 首を傾げる王女。

 そんな彼女の前髪には――。




「そちらは、貴女の物で間違いないですか?」




 あの髪飾りが、付けられていた。




 


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