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8.新しい思い出の日々。

ここまで第1章。

明日から第2章です。応援よろしくです!










 ――アーシャの依頼を終えて、数日が経過した。



「ふぅ、今日も頑張ろう……!」



 店の立て看板を出して、ボクはそう口にする。

 空を見上げると、そこには雲一つない蒼が広がっていた。清々しい気持ちになるそれに、ボクは思いっきり深呼吸。

 そして、店の中に入ろうとした。

 その時だ。



「お久しぶり、です」

「……アーシャ?」



 あの少女が、一人でボクの前に姿を現したのは。







「先日は、失礼な態度を取って申し訳ございませんでした。母のドレスを修繕していただいたこと、心から感謝いたしております」

「え、あぁ。いいよ、気にしてないから」



 店内に招き入れ、互いに椅子に腰かけるとすぐ。

 アーシャは深々と頭を下げてそう言った。だけどボクは、リンドさんから事情を聴いている。その話をするわけにもいかない、と思い頬を掻くしかなかった。

 しかし、彼女の方は気が済まないらしい。


 面を上げると、おもむろに一通の手紙をテーブルに置いた。



「これ、は……?」

「わたくしのお母様が、大切に仕舞っていたものの一つです。どうやらそれは、貴方に渡した方が良いような気がしましたので」

「…………?」



 そして、そんなことを言う。

 ボクは首を傾げながら、その手紙を手に取って開いた。

 するとそこには、ある意味で納得の内容がある。



「あぁ、やっぱり……」



 ミランダさんから、とある修繕師に宛てた手紙。

 その修繕師の名はローンド・ディスガイズ――ボクの祖父だった。どうやら彼が亡くなった際、葬儀に行けなかったことを謝罪しているらしい。

 それと同時に、生前の感謝がたくさん述べられていた。



「わたくしとお母様は、貴方たちに支えられていたのですね」

「…………」



 こちらが手紙を読み終えると、アーシャがそう口にする。

 ボクは大切に贈り物を仕舞いながら、こう伝えた。



「ボクたちは、ただ守りたかっただけなんだ」――と。



 大切な思い出を。

 そして、それに想いを馳せる人々の心を。



「ありがとう、ございます……!」

「わっ!? な、泣かないでよアーシャ!?」

「な、泣いてなどいません! 少しだけ、目にゴミが入って……!」



 ハンカチを取り出し、涙を拭った少女。

 一つ息をついてから彼女は、どこか晴れやかな表情を浮かべて言った。




「……えぇ、きっと。わたくしも、同じだったんですね」




 その言葉に、ボクは自然と笑みを浮かべる。



「うん、そうだね」





 こちらが頷くと、彼女も笑った。






 こうして一つの依頼が終わる。

 そしてまた、新しい思い出の日々が始まるのだった……。



 



 


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