5.絆の証。
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「あら、ライル? そちらはどなたからのお手紙ですか?」
「えっと……」
そんな懐かしい日々の中、ボクのもとに一通の手紙が届けられた。
アーシャに言われて差出人を確認すると、そこに書かれていた名前は――。
「これって、ノア様からの!?」
予想もしていなかった人物。
ガーディスの領主を続ける国王陛下の弟君、ノア様の名前だった。
◆
「……ふむ。まさか、ライルに直接依頼をするとはな」
「あ、あはは……」
「気にするな、大丈夫だ」
――で、どうなったかというと。
後日、ボクとアーシャは国王陛下のもとを訪ねていた。
あれからもう何度も謁見しているのに、ここの空気感にだけは慣れない。そんな自分はついつい苦笑いしつつ頬を掻き、公爵令嬢から脇腹を小突かれていた。
さて、それは置いておいて。
結局のところ、ノア様の手紙には何が書いてあったかというと……。
「なるほど、な。……やはり、この話か」
「えっと、ルグニカ教の神殿修繕、ですよね?」
それは失われた古代ルグニカ教、その象徴であった神殿の修繕依頼だった。
ノア様の手紙によると王都からガーディスまでの道中、ちょうど中間に位置する場所にはルグニカ教を祀る神殿が存在するらしい。大昔には王国とガーディスの領主、そしてエルフたちの協力で維持がなされていた。
しかし、ある『キッカケ』から三者の関係は疎遠になって――。
「お前に話すのは心苦しいが、ローンドが行った経典の修繕があってから、だな。我々の足並みは乱れ、神殿の修繕は手付かずになってしまった」
「………………」
「かつてはローンドの独力で修繕を試みたが、やはり規模が違う。そのため今の今まで、放置することとなっていたのだが……」
「ノア様から、進言があったのですね?」
「うむ、その通りだ」
ボクの気持ちを察して、アーシャが代わりに言葉を継いでくれた。
国王陛下はそれに頷き返して、ゆっくりと手紙を机に置く。
「もとより、長く修繕の担い手が足りていなかったこともあるが。神殿はいまや、かつての原型をを保ってはいない。それでもノアは、ライルならと考えたそうだ」
「ボク、なら……?」
そして、穏やかにそう言った。
こちらが首を傾げると、陛下はまた頷く。
「お前は今まで、多くの者の想いを繋いできただろう。儂もその一人であり、ノアにとってもかけがえのない存在だ。……そんなライルであるからこそ、儂からも頼みたい」
ボクの方へ、おもむろに向き直って。
彼は静かに頭を垂れて、こう口にするのだった。
「どうか、我らの絆を修繕してはくれないだろうか」――と。
その言葉に、息を呑む。
しかし、ボクにはこの『想い』を断る理由など欠片ほどもなかった。
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