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4.祖父の本当の願い。

更新遅くなりすみません_(:3 」∠)_

頑張って今週末で、11章をなんとか……!


※少しだけコミックス短編の内容ありますが、読めるかと思います。










 それはきっと、何の変哲もないある日のこと。

 祖父の工房を訪ねると、彼は一心不乱になにかを仕上げていた。いつものように修繕を行っているのだろうと思って、ボクは声をかけずに遠くから眺める。だけど、どれだけの時間が流れてからだろうか。祖父のしていた作業が修繕ではなく、創作だったと気付いたのは。


 額の汗を拭うことも忘れ、食事を摂ることさえも忘れて。

 彼はただ真っすぐに、誰かへの贈り物を作っていた。その後姿にはいつも以上の気迫が見えて、ボクは思わず息を呑む。ただ同時に、どこか寂しげにも感じられたことも思い出した。




「お爺ちゃん……?」




 そんな祖父が心配になったのだろう。

 幼い頃のボクは、まるで一世一代の覚悟かのような心持ちでそう声をかけた。だけど彼からの返答はなく、時計の秒針が時を刻む音だけが、その場に流れ続けていく。


 ただただ黙々と。

 ただただ淡々と。


 祖父と過ごした中でも、異質としか呼べない時間だった。

 いつものような温かさは欠片ほどもなく、穏やかさとは程遠く、そこにあったのは焦燥感に彩られた緊張感そのもの。小さな子供であったボクには、一つも理解できない。なにかに追い詰められて、それでも必死に足掻いて、答えを求め続けている。




 いまだから、そう思った。

 きっと当時の祖父は、なにかを変えようとしていたのだ――と。




「……あぁ、私は」




 そんな永遠に続くかのように思えた時の中で。

 祖父はふっと手を止めて、喉を震わせて口にした。




「本当に、どうしようもない大馬鹿者だ」




 そして、手にしていた造花の花冠を置いてから。

 次に彼は一枚の古ぼけた写真を取って、大きく肩を落とすのだった。




「どうしていつも、失ってから気付くのだろう。どうして今さらになって、間違いに気付くのだろう。取り返しのつけようのない状態になって、磨いた修繕の技術でさえも届かない位置に行ってしまってから、どうして――」




 お世辞にも綺麗とは呼べない。

 不格好な花冠をじっと見て、祖父は言う。




「こんなもの、ただの『偽り』にしかならないと分かっているのに」――と。




 それでも彼は手を止めず、最後の仕上げを行っていた。

 不出来ながらも作り上げた造花の花冠に、施したその色は――。







「……ねぇ、アーシャ? 以前、少し話をしたよね」

「話、ですか……?」

「うん。願いを込めた花冠を贈るのが、昔に流行ったってさ」




 ボクは記憶を辿り、アーシャにそう声をかけた。

 そして、訊ねる。




「教えてほしいんだ。その……」




 祖父の手にしていた花冠の色を。





「青色の花冠には、どんな意味があるのかな……?」





 実家の片隅に置いてあったそれに、込められた願いを。




「青色の花冠、ですか……?」




 アーシャは少しだけ首を傾げ、しかしすぐに真剣に考え込む。

 そして、やがて優しい声色でこう告げるのだ。




「とても、素敵な意味です。青色の花冠の意味は――」




 小さく微笑みながら。





「『貴方は大切な宝物』……ですよ」――と。





 


面白かった

続きが気になる

更新がんばれ!




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