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「うう、気持ち悪い」

「お姉ちゃん!」



 アリスは倒れて朦朧としていたのでそのまま寮の自室で休む事となった。




 カーテンの隙間から容赦なく朝日が瞼まぶた目掛けてダイブしてきてアリスは目を覚ます。


 ちゅんちゅん



「ん……、もう朝? もしかして、昨日のは夢?」


 ガバッ! ぐわっしぃぃ……。


「無いし、あったよー。ううう……女神め、いい仕事してくれちゃって……」




 もにゅ……


「柔らかぁ……ん! ダメだって! これじゃ僕ヘンタイさんじゃないか! これは僕のものだけど、同時に体の持ち主のアリスのものでもあるんだから、勝手に揉みしだくのは違うし!」




 窓の外に雀が止まって何かをついばんでいる。



「あっすずめ。ふふふ……お前らは気楽そうでいいなぁ……って良くみたら、これ日本の雀じゃない? え? 何で?」


 異世界に転生した筈なのにこんなとこにまで日本のキュートな雀とはこれ如何に?


「……まあ、雀くらい何処にでもいるよね? うん。悩ましいから服着よう」




「いくよ! はぁぁぁぁ!」


 目隠しして構えると死ぬ気でアンダーを整える。それが終われば後は、コス好き僕っ娘でも大丈夫っていうか得意な世界!


「ホント僕って可愛い。メイクなしでもこの仕上がりとか前世の頑張りはなんだったのかなぁ? ひげのそり残しすら気にしなくていいんじゃない? 女子って最高か!」



 色んなポーズを決めてみる。


「えい♪」



「こうかな?」



「はあはあ……こんな美少女に転生できたのはある意味、僥倖! もし見るからに筋骨隆々なたくましいオネエに生まれ付いていたら……泣いてる所だな。ふふふ……このスタイルを持ってすればどんなコスもやりたい放題じゃない?!」



 こんこん



 会心の可愛い自撮りポーズが決まってご満悦な表情の時にドアが開きその隙間からアリアがひょっこり顔を出す。


「お姉ちゃん……? もう起きてる? って何やってるの?」


 元々寝起きが悪かったのか。

「あははは……アリア、人間て日々成長するものなんだよ。これはストレッチ♪ 美容にいいらしいの」

「そうなんだ? 頑張ってるね」

 美容にいいと言われてなんとなく頷く妹。我ながら上手く誤魔化せた気がする。


「アリア、こんな早くにどうしたの? まだ登校時間には早すぎない?」



「これよ! お母さんが、寮に引っ越す日が早くなっても問題ないからってお姉ちゃんの荷物持っていってあげなさいって……」


 待ってましたとドアをフルオープンにする。


 そこにあったのは大きな大きなキャリーケースと台車一台分の段ボール。

「ふぁ! 異世界に薄い薄い趣味の御本でも入っていそうな段ボールが何箱も? おかしくない? 雀も日本のものだったよね? うーん、これは本格的に何かがおかしくない?」



「えーっとね、お母さんからの伝言で、お姉ちゃんは今日からここで生活する様にって……、私も明日にはこっちにくるのだけど」



「……そうなんだ」


 この世界が、まだ右も左もわからないのに本格的に追い出されてしまったようだ。まあ自由にしていいならそれも良しだと思っていたりする。


「足りないもので、備品は中央管理室で貰えて日用品なんかは購買部で手に入るみたい。これお母さんから預かってきたお姉ちゃんの分のお財布」


「わたしの荷物は明日ここに持ってくるの。そしたらお姉ちゃんと朝ごはんとか一緒できるね」

「あー、忘れてた。朝ごはんはどこで食べられるんだっけ? お腹すいたよ」



「ああ、お姉ちゃん、昨日倒れてたからかな? カフェテリアは中央棟の二階みたいよ? 三階は王族とか留学生とか? 兎に角偉い人が使うみたい。二階は一般用だからもうやってるんじゃないかな? 私家で食べて来たから今から自分の部屋に行ってくるね」


「じゃあ僕カフェテリアいってくる♪」






「ここがカフェテリア? とてもハイソな雰囲気? えーと? メニューは……」


Aモーニング

      焼き魚

      卵焼き

      肉じゃが

      お味噌汁

      白米


Bモーニング

      スクランブルエッグ

      ウインナー

      サラダ

      いちごヨーグルト

      野菜スープ

      焼きたてパン



 お味噌汁は赤、白、合わせから選べます。焼きたてパンとごはんはお代わり自由です。





「……は? なにこの馴染み深い響きは、味噌あるじゃん! 異世界に来たのに朝からお袋の味なの?」





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