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 女子寮一階、お風呂場の説明を受けることになり一階の大浴場手前の談話室に案内された。



 生前、祖母が亡くなる迄それに付き合っての温泉巡りが週に数度の趣味だった事もあり大浴場には正直ときめいた。


「人前で肌をあらわにするなんて……」

「お風呂大好き!」

「恥ずかしい!」



「楽しそうだね、お姉ちゃん?」



「ウン、ソウダネ……」


 女子達の意見は様々。


 妹アリアも乗り気だし、姉としても、前世の幼少期に、お風呂大好き星人を自称していた者としても異世界の大浴場は是非とも利用したい所だ。でもそれが女子専用となると元男子のアリスは居心地が良いんだか悪いんだか、さっきからテンション含め様子が変になっている。



 皆に合わせて微笑みながらもその内心では、こんな所に自分がいていいのか悪いのかの葛藤が水面下で不毛な泥沼試合を繰り返すアリスの精神。



「トリシア先生はここのお風呂は入らないんですか?」

 一人の女子生徒が気軽に質問をする。


「ええ、この大浴場は私達職員も皆様と親睦を深めるためにも進んで利用していきたいと考えています」

 どこかのお風呂好き女子がとんでもないとこを言い始めた。


「今からお風呂使えますか?」


「今から中を見学しますが、どうしてもお風呂に浸かりたいという方はこの後からランチの終了時までに教室に復帰できる様でしたら許可します。皆さんお進みください」


 トリシア女史がその奥の扉を開けた先に、お風呂屋にありがちなのれんをくぐって行くと、心地よいヒノキの香りが鼻について否応なしに期待感が増す。


「アリア、お風呂が待ってるから……僕、入る!」


 それまで悩んでいた事は嘘の様に解消され、自然と足を進めてのれんをくぐる。


「あ! お姉ちゃん待って」


 様式こそ違っているが、良く見知った空間に急ぎ足でロッカーを開けるとシャツを脱ぐ。スカートを下ろし下着に手をかけ背中からホックを外し、レースのそれに手をかけた時、アリアが追い付いて来た。


「はあ、はあ、お姉ちゃん早いよ、落ち着いて!」



「僕……お姉ちゃん?」


 アリアの背後の鏡に露になった妹と色違いの金色の髪と蒼い瞳。日に焼けていない自分の滑らかな体のライン、その体躯に付属された、華奢な体に似つかわしくないたわわに実った二つの膨らみがぷるんと揺れた……。


 ドクン……!



「きゃー、お姉ちゃん! しっかりして!!」




 脱衣室が騒がしい。


「わぁー、湖に浸かっているみたいだねー! て、どうしたの?」

「何かね、お風呂にのぼせたのか誰か倒れたみたい」

「えー、それは大変ねぇ」


 湖に面するお風呂には露天風呂もあって浴槽とお風呂の境界線が分かりにくくしてあってとても解放感があり、リラックス効果も抜群である。


 一人を除いてみんなつつがなく見学を終える。





「ここは……?」


「あ、気が付いた? ここはお姉ちゃんの部屋だよ。お姉ちゃんお風呂場で倒れちゃって大変だったんだよ?」

 何気なく触れると後頭部にたんこぶの感触。

「痛っ! ……そっか僕、大きなお風呂に興奮しちゃったみたいだね」

「そうなの。裸だったから服を着せてから先生を呼んでここまで連れてきて貰ったの。トリシア先生が心配してたよ運んでくれたルークス先生も心配してた」




「アリア……ごめんね」


「どうしたの……らしくないよ?」





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