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生きる自殺志願者  作者: かいせい
4/10

僕と裕太

3、僕と裕太


 しかし、裕太と過ごしていく中で、僕と裕太には根本的に違うところがあった。一見すると、二人とも静かで、気の合う友達同士だと思うかもしれないが、僕と裕太は人としての本質がまったく違っていた。

裕太は、いつも自分を持っていた。他人にどう思われようが関係がなかった。ある日、大学のキャンパス内を人が行きかう中、ベンチに座って、英語の勉強をしている裕太を見た。僕は、そんな裕太の行動を見たとき、驚いた。

勉強するときは、いつも図書館で勉強するのが普通で、まして、人が行きかう前のこんなベンチで勉強するなど、目立つのを嫌って普通の人はしない。

個人差はあるが、大学生というのは、自分が他人からどう思われるのかを気にして生活している。便所飯なんかをするのはその証拠だ。

大学生になっても、一人でご飯を食べれないのかと思うかもしれないが、

大学生だから、一人でご飯を食べれないのだ。

周りの視線や評価に敏感になってしまう。

みんなが授業をサボれば、自分もサボるし、みんながマクドを食べるなら自分もマクドを食べる。みんなが右に行けば、自分も右に行くし、みんなが左に行けば、自分も左に行く。

大学生というのは、周囲の目を気にして生活しているかっこ悪い人の集まりなのかも知れない。だから、こんな目立つ場所に1人で誰も座らない。


 しかし、裕太は違うかった。僕は驚いてすぐに裕太に声をかけた。

「裕太、何してるん?」

「おお、勉強してる」

「なんで、こんなところで勉強してるん?」

「空きコマやったから、次の小テストの勉強してる」

「なんで、図書室いかへんの?」

「普通に、何となく……」

僕は、彼をかっこいいなと思ったと同時に少し怖いと感じた。

彼は、人からどう思われるとか、恥ずかしいという感情がないのかもしれない。

普通は、人目を気にしてこんなところに1人で座らない。ましてや、ここで勉強しいる人など誰もいない。

僕は、裕太と違い、人からどう思われるかをすごく気にしてしまう。

普通の人でありたいと願望も、そういうところからきているのかもしれない。

だから、裕太の周りを気にしないところを見て彼を尊敬した。うらやましいとも思った。


 人からどう思われるかを気にせずに生きれたら、どんなに楽だろう――。

「人からどう思われるかなんて気にしない。人からの承認欲求を捨てる。そして、自分らしく生きる」

前に読んだ自己啓発本にはそんなことが書いてあった。

分かっているがそれができない。それができたら、きっと自分のことを今よりは好きになれるのだろう……。




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