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8/13 メイドと黒い布。
わしの服が見当たらない。
メイドに聞いても適当な返事が帰ってくるだけ。
相変わらずのポーカーフェイスじゃが、最近のメイドは特に表情が柔らかくなってきている為、逆に無表情で通すと言うことは何かがあるという事じゃ。
しばらくして、メイドの部屋の前に行くと電気がついてなさそうだったので、静かにドアを開け、中を覗いた。
メイドは、電気もつけずにベッドを背もたれのようにして眠っていた。
なにか作業をしながらうとうとしてしまったのじゃろう。
暗くてよく見えんかったが手には黒い布を握りしめていたので裁縫でもしていたのやもしれん。
しかし裁縫中に寝るとは危ないじゃろうが。
声をかけようとも思ったが、結局わしは、知る事が怖くてその場を後にした。
その布がなんだったのか、出来る事ならわしの予感が外れていることを願うばかりである。