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5/21 逮捕。
老婆を殺して庭に埋めたという馬鹿息子を警察に通報し、わしも同行させてもらった。
人の意識を操るのも久々の感覚であったがうまく行き、わしがいても誰も文句を言わなかった。
むしろわしが現れた時軽く歓声がわいたくらいじゃ。
わしも有名になったものよ。
それはそうと、馬鹿息子は犯行をなかなか認めなかった。
しかしわしがその場で老婆の話を聞き、状況証拠を固めたり遺体を掘り返したりしているうちに諦めたのか、犯行を認めるに至った。
全く馬鹿な事をしたものよ。
本当はこの馬鹿息子も後悔していたらしく、パトカーに乗せられていく間もおふくろ……としきりに呟いていたが、そんな馬鹿息子を老婆がビンタした。
まだそんなに強く干渉できる力は無いはずなのに。
言葉は届かないものの、気持ちだけはきちんと伝わったようである。
男は泣き崩れながら連行されていった。
老婆は、たまには刑務所に様子を見に行くことにすると言って笑ったが、自分を殺した相手を気にかけるとは……やはり親子の縁や絆というのは切っても切れぬものなのやもしれぬ。
時と場合によるであろうけれど。