7/14 思い出。
あれからメイドとヒナは少しだけ仲良くなったように思う。
わしがヒナを風呂に入れようとしたらメイドが怒ってヒナを奪っていった。
以前からは考えられぬ。
二人は一緒に風呂に入るようじゃ。
なんだか少しだけ寂しい気もするが、まぁ二人がうまくやってくれればそれでよかろう。
しかしヒナはまだ子供じゃぞ?
わしが風呂に入れたって何も問題なかろうに……。
そういえば以前居た世界でもわしに懐いていた魔物の子がおったな。
ヒナを見てると少し思い出して懐かしくなるが、あの子はどうしているじゃろうか?
確かあの子の父親は勇者に殺されてしまったのだったか。
わしらからすれば勇者こそ魔物虐殺魔であり、天敵というやつである。
この世界も争いはあるが、奪い合わずとも生きていける場所があるだけあの殺伐とした世界よりは余程平和じゃ。
懐かしくはあるが戻りたいとは思わない。
いつか戻れる方法が分かったとしても、きっとわしはこの世界を選ぶじゃろう。
略奪と虐殺はやりたくてやるような物ではないのじゃ。
勇者にもそれなりの理由があってわしらを殺そうとしていたのであろうが……。
いや、もう過ぎた事じゃ。
願わくば、残された魔物達にも生きる権利と最低限の幸せがありますように。
似合わぬ事を書いてしもうた。
もう今日は寝よう。